英Symbian Ltd.は,携帯電話機向けのウイルス・ソフトウエア「Extended Theme」についてコメントを発表した。
同社も詳細まではつかんでいない様子だが,今回の発表では「Extended ThemeがフィンランドNokia Corp.の携帯電話機「Nokia 7610」を対象にしたもので,Nokia社が開発した携帯電話機向けのミドルウエア『Series 60』を採用する携帯電話機にも影響を及ぼす可能性がある」,「シェアウエアを提供するWWWサイトを通じて一時期配布されていたが現在は配布されていない」と報告している。
Extended Themeは,アプリケーション・ソフトウエアを自動インストールするファイルとして配布される。ファイル名は,Extended Theme.sisなどで,Nokia 7610のメニュー画面に新しいアイコンなどを作成しようとする。トロイの木馬型のウイルスに分類され「7610.extended.theme.manager.zip」という圧縮ファイルで配布されたという。Symbian社は,このソフトウエアを携帯電話機にインストールするにはユーザー名の入力が必要であり,セキュリティの警告が発せられるため,危険性は少ないとする。
こうした警告を無視して実際にインストールすると,通常のアイコンに替わってドクロのようなアイコンが表示されるほか,メニューがロックされて音声通話以外は利用できなくなるという。Symbian社では,同ソフトウエアが,意図的に作られたのか,プログラム・ミスなどによる偶発的なものなのかはつかみきれなかったとしている。ただし,感染した携帯電話機の振る舞いをみると,意図的に作られた可能性が高いようにみえる。
Symbian社は,Series 60の代わりにスウェーデンUIQ Technology社のミドルウエアを使う英Sony Ericsson Mobile Communications社や米Motorola,Inc.などの携帯電話機,NTTドコモが発売する,Symbian OSを搭載した富士通製の携帯電話機には影響がないと説明している。 NTTドコモの機種では,発売中の富士通製「FOMA F900i」などがSymbian OSを搭載しているほか,2004年12月以降発売予定の「同F901iC」,三菱電機製の「同D901i」がSymbian OSを採用している。
NTTドコモは901iシリーズ以降の機種について,米McAfee,Inc.と共同開発したウイルススキャン・ソフトウエアを標準搭載し,将来登場する可能性があるウイルスに備えることにしている。 |