放流されたヒラメの子供の多くはイシガニに食べられてしまっていることが、独立行政法人水産総合研究センターの調査で明らかになった。同センターによると、放流ヒラメの数が減る原因が解明されたのは初めて。
成長してからの漁獲を目的として放流する幼魚の数は、マダイを抜いてヒラメがトップ。毎年2000万匹以上の幼魚が放流される。ところが、放流した直後に数が急減する問題があった。
原因を解明するため、水産総合研究センターは01年と02年に新潟県の佐渡島で、全長6センチ前後のヒラメを約5万匹放流。追跡調査した。
放流後1週間で7割以上が姿を消したため、周辺の海域にすむ肉食動物の胃を調べたところ、減ったヒラメの半数以上はイシガニに食べられていたことが明らかになったという。
イシガニは浅い海底の砂泥などにすみ、甲羅の幅が10センチに達する。日本の周辺の海域に広く生息し、食用にもなる。同センターはヒラメの放流効果を高めるためには、イシガニの生態に注意する必要があると指摘している。
(11/13 06:14) |