首都圏を中心に約7万人の会員を持つ自然食品宅配会社「大地」(東京都調布市)が販売したミネラル水から、水道水の基準の100倍を超える一般細菌(雑菌)が検出されたことが2日、分かった。厚生労働省は「考えられない数値」としている。大地はすでに販売を中止し、購入した会員に返品を求めている。
市販されるミネラル水の雑菌は、食品衛生法で製品になる前の原水について水道水と同じ基準が適用されるが、製品そのものには基準がなく、サンプル検査なども義務づけられていない。
問題のミネラル水はミネラル水製造会社「トミミツ」(埼玉県神泉村)が大地の委託を受けて、神泉村のわき水を採取、フィルターで除菌し、「神泉水(かみいずみすい)」の名称で販売された2リットルパック。埼玉県によると2000パック以上が、東京都や埼玉、神奈川両県などに出回ったという。
県の調べでは、このミネラル水を飲んだ都内の消費者が9月、「妙な味がする」と、東京都指定の検査機関「東京食品技術研究所」に検査を依頼。その結果、未開封のミネラル水から最大で1ミリリットルあたり1万個以上の雑菌が出た。連絡を受けた都もほかのパックを検査し、1ミリリットル当たり13万個の雑菌を検出したという。
埼玉県の立ち入り検査を受けたトミミツは「製品を保管する施設の温度が高かったこと、容器の殺菌が不十分だったことなどが原因と思われる。製造再開は慎重に検討する」などと報告した。
大地は「今後、生産から流通、消費まで商品管理全般を見直す」と話している。
厚労省の薬事・食品衛生審議会は、02年からミネラル水の基準を原水だけでなく製品にも設けるかどうかの審議を続けており、委員からは「製品そのものに基準を作った方がよい」などの意見が出ているという。
(12/03 07:13)