青森県西目屋村の尾太(おっぷ)鉱山跡地の廃水中から、最大で直径7.5センチの淡水性マンガン団塊が、同県と静岡県の地質学者らによって発見された。マンガン団塊は深海底に大量にあり、将来の金属資源として注目されるが、陸上でマリモのように大きく「成長」した形で発見された例は珍しいという。
4日に発表した静岡県立沼津工高の山本玄珠(げんじゅ)教諭(43)は「陸上は採取が難しい深海底に比べ、調査を進める上で格段に有利。マンガン団塊の『成長』に微生物が関与しているとみられ、そうした環境を調べれば、より短時間に価値の高いマンガン団塊を作り出せる可能性がある。微生物を使って、マンガン電池などからの有用元素の回収なども可能になるかもしれない」と話している。
マンガン団塊を最初に発見したのは、78年に閉山した尾太鉱山の坑廃水処理会社勤務の長峰崇さん(47)。95年に坑内でコンクリート補強工事中、廃水の底から見つけた。最大で直径7.5センチ、小さなもので1~2ミリで、千個以上あった。
02年、大学の後輩で奇石博物館(静岡県富士宮市)学芸員の北垣俊明さん(43)に研究を依頼。北垣さんは山本さんらと共同で分析してきた。
その結果、全体の9割が球状で、断面に同心円状のしま状構造が見られるなど、深海底で採取されたマンガン団塊と共通点が多いことなどが明らかになったという。学会機関誌「地球科学」11月号に研究成果が発表された。
(12/05 15:17) |