高級ブランドのイメージを崩さず、“ちょっと手を伸ばせば買える”価格帯に設定したブランドが好評だ。今月、東京都内にオープンした「バナナ・リパブリック」は、高級感を出しつつも数万円で手が届く。宝飾品では、ネックレスや指輪で人気の「フォリフォリ」も同様の戦略で売り上げを伸ばしている。
「バナナ・リパブリック」はカジュアル服の「ギャップ」の日本法人が今月、銀座と六本木などに4店舗を開いた。商品価格帯は多くが10万円以下。「プレミアムデニム」と呼ばれる生地のジーンズは1万8000円と1万9000円。天然染料を使用したメンズのレザーブルゾンは6万6000円。「日本のアパレル業界は、高級ブランドと低価格商品との中間にあるブランドが少なく需要がかなりある」と話す。
フォリフォリも、数十万円するブランド宝飾品が多いなかで、デザイン性を重視しながら「着替える感覚で身につけてほしい」と、2万~5万円の価格に設定した。04年度までの5年間で売り上げは約2.3倍に拡大している。
もともと、手が届く高級ブランドの代表格はバッグの「コーチ」。中心価格を4万~5万円台に設定し、主な購買層を20~30代の女性に照準を合わせた戦略が成功。本格的な日本進出は01年だが、国内の売り上げシェアはルイ・ヴィトンに次ぐ第2位となった。コーチは「適切な価格帯で、求められるファッション性を提供できているから好調だ」と話す。
流通業界に詳しいボストンコンサルティンググループのアナリストの森澤篤さんは「高額ブランドには及ばないものの、顧客に高級感と満足感を提供しており、今後も需要は伸びていく」と分析している。【小原綾子】
毎日新聞 2005年9月17日 20時11分