全国の公立小学校の児童が04年度に起こした校内暴力は1890件で、前年度(1600件)に比べて18.1%増えて過去最悪となったことが、文部科学省の調査で分かった。小中高校を合計した校内暴力の件数は前年度より4.0%減っており、「キレやすくなっている」と指摘される小学生の突出ぶりが目立っている。
文科省は22日、暴力行為やいじめなど子どもの問題行動を調べた「生徒指導上の諸問題の現状」を公表した。それによると小中高合計の暴力行為は校内が3万22件、校外が4000件で、ともに前年度(校内3万1278件、校外4114件)を下回った。
校内での暴力行為の内訳は、小学校の1890件に対し、中学校では2万3110件、高校5022件。中学校が全体の8割近くを占める現実は変わらないものの、前年度との比較では中学校が5.5%減、高校が3.7%減で、小学校での増加ぶりが際立っている。
小学校の校内暴力の内容を見ると、最も多いのは児童間暴力で992件だが、対教師暴力が336件で、前年度の253件から32.8%増と大幅な伸びを示している。地域別では大阪府が最も多く、神奈川、兵庫、埼玉県と続く。
これについて、同省児童生徒課は「小学校で感情のコントロールがきかない子が増える傾向にあるようだ。忍耐力や自己表現力、人間関係を築く力が低下しているのではないか」と見ている。
一方、いじめは小中高と養護学校など特殊教育諸学校の合計で04年度2万1671件と、前年度の2万3351件から7.2%減。高校中退者数(私立を含む)は7万7897人で、前年度の8万1799人から4.8%減った。【井上英介】