中国で歌手デビューした小野綾子(24)が16日、北京市で開催された北京国際マラソンのエンディングセレモニーに参加した。地元のアーティスト3組、大黒摩季(35)らと競演。今春の反日デモで顕著になった日中関係悪化の中で、小野らは温かい風を生んだ。
マラソンのゴール会場となった国際オリンピックスタジアム。総立ちとなった1万人の観客が拍手で迎える中、小野が登場。「ニーハオ」と満面の笑みで手を振ってあいさつした。
中国では3回目のライブ。昨年、日本人歌手として初めて同国で政府公認CDを出しているとあって、歓声の大きさは地元アーティストへのものと同じだった。
4月に亡くなった作詞・作曲家の中山大三郎さんの生前最後の作品「地球は一つ」を中国語で披露。動きを控えめにし、豊かな声量で魅せる“中国式”の歌唱でスタンドのファンを魅了した。
小野のたすきを受けて大黒が登場。代表曲「あなただけ見つめてる」「ら・ら・ら」の2曲を熱唱。小野とは対照的に、ステージを縦横無尽に駆けめぐる“日本式”の派手なスタイルで沸かせた。
日本の歌姫2人がスタジアムのテンションを上げ、地元スター歌手のヤン・クン(34)がトリで登場。マラソンで中国勢が上位を占めたことも後押しし、会場は大きな盛り上がりを見せた。
現地のイベント代理店関係者によると、今回は5月に大規模な反日デモが起きて以来、初めての日本人によるライブイベント。関係者は「デモが起こってから、日本人によるイベントが次々とキャンセルされた。久しぶりに日中交流の場を見ることができた」と感激しきりだった。
小野は「日本と中国の関係が音楽を通じて近くなってほしい」とアピール。大黒は「ハートフルな音で心と心がつながった」と熱く語った。