金融庁は27日、1000件を超える不当な保険金不払いが発覚した明治安田生命保険に対して複数の業務停止命令を発動する方針を固めた。個人向けの保険募集業務を2週間停止するほか、新商品の販売については2週間を超える停止処分にする方向で調整している。すでに明治安田側から言い分を聞く「聴聞」を終えており、28日に処分を言い渡す。同時に出す業務改善命令では、一連の不祥事の主因が、内部管理態勢の欠如にあったと認定し、経営陣らの責任を厳しく追及する。
金融庁は、業務停止と改善命令を出す方針を決めた後、処分内容や業務停止の期間について検討してきた。その結果、これまでに発覚した不払いの総件数が、今年2月に2週間の業務停止命令を出した時点で明治安田が報告していた数の6倍以上に膨らんだことなどから、前回より重い処分が妥当と判断した。また、新商品の販売業務を停止することで、12月から対象商品が増える銀行窓口での販売も停止の対象になり、販売競争で後れを取ることになりそうだ。
金融庁は、内部管理態勢の不備が、不当な保険金不払いを生む温床になったと結論付け、命令の中に経営陣の責任を厳しく問いただす文言を盛り込む方針だ。取締役会に次ぐ意思決定の場である常務会が、保険金不払いの拡大防止に全く機能しなかった点を重視し、会社側がすでに発表している社長ら代表取締役3人の退任にとどまらない大幅な経営の刷新を求める。
業務停止期間については、自民党の財務金融部会でも「2~3カ月ぐらいは停止して猛省を促すべきだ」との厳しい指摘が相次いでいた。