大阪、愛知、岐阜の3府県で94年、男性4人を殺害するなどした連続リンチ殺人事件で、強盗殺人罪などに問われた事件当時、18~19歳の3被告に対する控訴審判決公判が14日、名古屋高裁で始まった。川原誠裁判長は主文の言い渡しを後回しにし、判決理由の朗読から始めた。また1審・名古屋地裁が傷害致死罪と認定した木曽川事件について、殺人罪を適用した。1人を死刑、2人を無期懲役とした1審判決に対し、検察側は全員に死刑の適用を主張しており、厳刑が言い渡される公算が大きい。4人を殺害した結果の重大性と、矯正可能性の判断などが焦点だ。
死刑求刑の3被告に対し、1審は01年7月、愛知県一宮市生まれの男(30)=事件当時19歳=に死刑、大阪府松原市生まれの男(30)=同=と大阪市西成区生まれの男(29)=同18歳=に無期懲役を言い渡した。検察、弁護側とも全員について控訴した。
判決で川原裁判長は、1審が傷害致死罪を適用した木曽川事件について「重篤な状態であった被害者を河川敷からけるなどして転がり落とし、被害者の死期を早めたことが認められる。殺人の実行行為だ」と指摘。3被告全員に殺人罪の成立を認定した。
控訴審で検察は「3被告の役割に差異はなく、11日に4人の命を奪った非人間的性格や、態様の残忍さなどから矯正は不可能」として全員に死刑の適用を求めた。これに対し、弁護側は一部の事件について殺意がなく、強盗殺人罪は成立しないなどと主張。「3被告は反省を深めており、死刑は回避すべきだ」と訴えた。
最高裁が死刑の判断基準を示した83年の永山則夫元死刑囚の判決以後、高裁が少年事件で死刑判決を支持したのは、千葉県市川市の一家4人殺害事件の被告(当時19歳)に対する96年7月の東京高裁の1件だけ(01年12月、最高裁で確定)。複数の被告や1審・無期懲役の被告に2審で死刑が言い渡されれば初めてとなる。【月足寛樹】