大型の加速器を使った素粒子研究などをしている文部科学省所管の大学共同利用機関法人「高エネルギー加速器研究機構」(茨城県つくば市)で昨年11月、素粒子ニュートリノを発生させる装置にトラブルが起きていたことが22日わかった。同機構はニュートリノを約250キロ離れた岐阜県飛騨市の宇宙素粒子研究施設「スーパーカミオカンデ」に撃ち込む実験(K2K)をしていたが、このトラブルをきっかけに終了した。同機構は故障を公表していなかった。
同機構によると、昨年11月6日、K2Kの実験装置のうち電磁ホーンと呼ばれる個所でトラブルが発生した。カミオカンデに撃ち込むニュートリノの数を増やすための装置で、使用を続けるうちに強い放射能を帯びる個所だったため、修理はできず、99年6月に始まった実験は終了した。
K2Kの研究チームは昨年6月、カミオカンデの観測で、ニュートリノに質量があることを99・99%の確率で確認したと発表した。その際に「今後もデータ収集を続け、測定精度を高める」としていた。
研究チームの代表者である西川公一郎・京都大教授は「壊れた時点で必要なデータは既に得られていたので、そのまま終了とした。原因を究明したら、発表するつもりだった」と話している。