俳優の渡辺謙(46)が10日、急性骨髄性白血病のため38歳で亡くなった歌手の本田美奈子さんを悼んだ。都内で行われたアメリカン・エキスプレスの新CM発表に出席。同じ病魔と闘った経験があるだけに、神妙な面持ちで「才能のある若い方が亡くなられるのはつらい。(本田さんは)病気と闘っている患者、家族に希望を持っていただきたいと思っているはず」と語った。
血液のがんといわれる難病のつらさ、苦しさは痛いほど分かる。取材陣から、本田さんに関するコメントを求められた渡辺は、目を閉じ、気持ちを整理してから静かに「才能のある、若い方が亡くなられるのはつらい。ただ、すごく元気だったころも、それ(発病した)以降も、生きることと向かい合って(人生を)まっとうされたと思う」と話した。
渡辺は89年8月、映画「天と地と」のカナダ・ロケ中に急性骨髄性白血病と診断され降板。翌90年には仕事復帰したが、完治の目安とされる5年を目前にした94年8月に再発し、それから半年以上を闘病に費やし、克服した。
それだけに、面識はないが、志半ばで逝った本田さんの無念を思う気持ちは強い。「同じ病気を経験したものとして、(本田さんは)ただつらく、悲しんでほしいとは思っていない。病気と闘っている患者、家族に、希望をきちんと持ってもらいたいと思っているはずだと思う」と話した。
新CMキャラクターに決まったアメリカン・エキスプレスは、過去に米俳優ロバート・デ・ニーロ、プロゴルファーのタイガー・ウッズらを起用。渡辺は欧米人以外では初の抜てきで「選んでいただき光栄」と笑顔を見せた。
10月上旬に京都で撮影されたCMは、渡辺がラブラドルレトリバーを連れて散歩する設定で、「僕は自分の行くべき道を探している」というナレーションが入る「標識編」「歩道橋編」の2本。「外国人が見た日本の伝統と、今の日本の美しさが表現できている」と満足げだった。18日からオンエアされ、米、独、仏など世界14カ国でも放送予定で「ケン・ワタナベ」が、さらに世界を席巻する。