米マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは16日、都内で記者会見を開き、今後の日本向け戦略を明らかにした。2006年内に業務ソフト「マイクロソフト・ダイナミクス」を販売するなど、従来は欧米中心に展開していた中小企業向け市場に本格的に進出する。日本市場での同社の成長シナリオとして7月に発表した「プラン-J」の進捗状況を示しながら「今後はさらに日本市場へのコミットメントを強める」との姿勢を強調した。
バルマーCEOは、17日に発表するSQLサーバー2005など一連の製品群について「(我々の)成長を推進する技術革新」と位置づけ、「核になる技術革新をさらに拡大していくことで新たなサービスを提供していく」としている。
特に、前回の発売から5年のブランクがあったSQLサーバー2005については「いつも次回の新製品投入まで5年のギャップを持ちたいわけではないが、今回は.NET対応など(あらゆる機能)を埋め込んだ。5年の間に企業向けサーバー市場で我々の製品は着実にシェアを伸ばしており、いまやIBM、オラクルより人気があるといってもいいほどだ」と製品の浸透ぶりに自信を見せた。
また、12月10日に発売が予定されているXBOX360の人気についてバルマーCEOは「ゲームコミュニティーも、関係者、一般のユーザーからもよい反応が得られている。勢いがあり、数量的にも期待できる。前回(のXBOX)よりもさらに良い結果が得られる」と楽観的な見方を示した。
同日、同席したMS日本法人のダレン・ヒューストン社長は「プラン-J」の進捗状況を発表。人材、マーケティングなどへの投資の拡大に加え、新規市場への参入としてシアトルで発表された大型コンピューター向け製品、モバイル向け製品、中小企業向け製品を紹介した。
特に、中小企業向け市場には、06年前半にマイクロソフト・ダイナミクスシリーズのCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ソフト、その後06年内に同シリーズのERP(統合基幹業務システム)ソフトを投入することを明らかにした。この分野ではこれまで国内企業とパートナーシップを組んでおり、今後は競合する事態もありそうだ。
一方、ウィンドウズLiveなど一連のソフトウェアベースサービスのビジネスモデルについて、バルマーCEOは「新顧客へ提供できるサービスであり、広告収入、購読料収入などが柱となる」とのみ述べ、MSNとのサービスの重複をどう統合するかについては明言を避けた。
また、前・日本エイ・エム・ディ代表取締役会長だった堺和夫氏が初めてマイクロソフト日本法人執行役員として登場。「プラン-J」進捗状況について説明するヒューストン社長から紹介され、「これからはマイクロソフトの堺です」と報道陣に自己紹介した。
堺氏が担当するウィンドウズクライアントビジネス開発事業部は、国内のパートナー企業との連携強化を担当。「プラン-J」でも強調されているデジタルライフスタイル、デジタルワークスタイルの広がりに欠かせないPC、家電、携帯端末など多様なデバイスのシームレスネットワーク化を進めるキーポジションとなっている。
マイクロソフト
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