来年3月に行われる国別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック」(WBC)で日本代表チームを指揮するソフトバンクの王貞治監督(65)が23日、マリナーズ・イチロー外野手(32)から出場の内諾を得ていることを明かした。さらに同監督はヤンキース・松井秀喜外野手(31)も12月上旬に説得に乗り出す考え。世界に誇る両主砲の加入で、ドリームチームが結成されることになる。
最強軍団結成へ最高の戦力を得た。王監督は参加要請している大リーガーとの交渉状況について「井口は“出たい”ということを言っているみたいだし、イチローからも“出てもいい”と個人的に聞いている」と福岡空港で明かした。
井口(ホワイトソックス)は当初からWBCに出場する意向を示していたが、イチローはこれまで米メディアに対し「野球の国際化という意味ではいいこと。どの選手が参加するかなど、状況を考えてみたい」と話すにとどまっていた。そんな中、ペドロ・マルティネス(メッツ)がドミニカ共和国代表入りを熱望、マーリンズからは主砲C・デルガドがプエルトリコ代表、今季最多勝のウィリスが米国代表に内定するなど、大物大リーガーからは参加表明が相次いだ。大会価値が高まれば、イチローに拒否する理由はなくなったといえる。
さらに王監督は松井秀についても「直接交渉は駄目というけど、向こうのコミッショナーは自分のことじゃないから熱心にやってくれない。待ってる時間はない」とあらゆる手を講じて説得に乗り出す考えを示した。日本人メジャーリーガーの出場打診は日米のコミッショナーを通じて行う必要があるのを知った上で、熱意を伝えるつもりだ。
ヤンキースは当初、スタインブレナー・オーナーが選手派遣に反対していたが、キャッシュマンGMが松井の契約延長会見の際に「球団に拘束力はない。選手が決めること」と明言するなど、出場への支障はない。王監督は12月2日に松井と雑誌の対談を行う予定で、その席上で意思確認を行う。
日本人大リーガーにとっては、2月20日前後のチームのキャンプに参加後、同月下旬に帰国。1次リーグを戦い、また米国に戻る強行日程だ。それでもメジャーの先輩格であるイチローの参加で、井口だけでなく、松井秀、大塚(パドレス)もチームに加わる可能性は高い。国内組もメジャーリーガーの参戦で、士気が高まるのは間違いない。
「野球が五輪競技に復帰するためにはWBCを成功させ、野球を世界にアピールしないといけない」と王監督。1月17日には1次メンバー60人が決定する。イチロー、ゴジラに松坂…。「王JAPAN」夢の布陣へ期待は膨らむばかりだ。
スポーツニッポン 2005年11月24日