兵庫県豊岡市の但馬空港で4月、アクロバット用小型飛行機が墜落しパイロットの岩崎貴弘さん(53)=茨城県小川町=が死亡した事故で、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は25日、花粉症が操作に影響を与えて事故を招いた可能性があるとの調査報告書を公表した。機体などに異常はないとしたうえで、降下後に再上昇するための操作タイミングが、花粉症や眼鏡のずれで遅れた可能性を指摘した。
事故は4月21日に起きた。航空自衛隊のパイロット出身の岩崎さんは1人乗りのアクロバット用小型飛行機を操縦。高度約150メートルから垂直に落下、地上近くで反転して再上昇しようとしたが、地面に激突し全身打撲で死亡した。
報告書によると、岩崎さんは眼鏡を掛けていたほか、花粉症を患っており、眠気を催す成分を含んだ市販薬を普段から服用していた。このため、眼鏡がずれたり、花粉症で涙目になったり薬による眠気などで機体回復のタイミングが遅れた可能性を指摘している。【長谷川豊】
毎日新聞 2005年11月25日 10時39分