森内俊之名人(35)に谷川浩司九段(44)が挑む第64期名人戦七番勝負(毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第6局は15日午前9時、石川県能美市のまつさきで始まった。
森内の3勝2敗で迎えた大一番。定刻の8分前、谷川と森内が相次いで対局室へ。青い羽織、濃い青のはかまを着た名人は、いつにも増して気合の入った顔に見える。薄い青の羽織、薄い茶色のはかまの挑戦者は、普段通りの落ち着いた表情をしていた。
駒を並べ終えると、森内はおしぼりで額をふき、お茶を一口飲んだ。谷川はひざの上で両手を合わせ、じっと開始の時を待つ。「森内名人の先番でお願いします」と立会の石田和雄九段。森内は小気味いい駒音をたて、7六歩と指した。
谷川が8八角成(8手目)として、戦型は後手1手損角換わりに。森内が後手番の第1局で選んだ作戦を、今度は谷川が採用した。森内は4六歩(13手目)から腰掛け銀を目指し、谷川も追随する。序盤は早いペースで指し手が進んだ。【中砂公治】