23日午後5時5分ごろ、栃木県西方町真名子の県警鹿沼署真名子駐在所付近の路上で、駐在所の男性巡査(30)が職務質問相手の男2人組の1人に襲われそうになり、拳銃1発を発砲した。弾は男の下腹部に命中し、約1時間後、出血多量で死亡した。もう1人の中国籍で福島県在住、無職、張学華容疑者(37)は逃走したが午後6時半ごろ、付近で取り押さえられ、出入国管理法違反(不法残留)容疑で現行犯逮捕された。県警捜査1課などが、死亡した中国人とみられる男の身元や、発砲の経緯を捜査している。
調べでは、巡査は同日午後4時45分ごろ、駐在所近くの「JAかみつが」のATM(現金自動受払機)で不審な行動をする2人を目撃。職務質問をしようとすると言葉が通じず、2人はバラバラに逃走した。巡査はうち1人を追跡。路上でもみ合いになり、男は巡査の腰に手を回して拳銃を奪おうとするなどして約200メートル逃走した。
約20分後に男は民家の庭先に逃げ込み、庭にあった石灯ろうの先端部(直径約20センチ)を振りかざしたため、巡査は「やめろ」「やめないと撃つぞ」などと数回警告。男がそのまま襲いかかったため、約1.5メートルの距離から発砲したという。
鹿沼署の鬼木精二副署長は「(2人組のうち1人が)反撃してきたため、警察官が身の危険を感じ発砲した。状況など詳細は調査中」とコメントした。栃木県内では、5月30日、真岡市や足利市で警察官がそれぞれ容疑者や不審者に発砲する事件があり、1人が負傷している。【吉井理記、山下俊輔、戸上文恵】
毎日新聞 2006年6月23日 20時36分 (最終更新時間 6月23日 23時21分)