国連難民高等弁務官事務所(UNHCR、本部・ジュネーブ)は4日、タイやアルメニアなどの難民に20年以上眼鏡を贈る活動を続けてきた札幌市の眼鏡販売会社「富士メガネ」の金井昭雄会長(63)に「ナンセン難民賞」を授与すると発表した。同賞は難民支援のノーベル賞といわれ、過去にワイツゼッカー・元ドイツ大統領、オペラ歌手のパバロッティさんらが受賞。日本の個人、組織が受けるのは初めて。
金井会長が活動を始めたのは83年で、創業45周年事業としてタイの難民キャンプで、視力が低下した難民に眼鏡を贈ったのが最初。翌年からはUNHCRの協力要請を受け、社員らとともに、アジア各国の難民キャンプを訪問した。一人ひとりの視力を検査し、その目にあう眼鏡を贈ってきた。総数は新品約11万組、中古約3万組に上る。
グテレス難民高等弁務官は「金井氏のおかげで何万人もの避難民の人生が変わった。視力の回復で学ぶことが可能になった」と謝意を示した。一方、金井会長は「とても素晴らしい賞で身の引きしまる思い。取引先の企業や社員のおかげです。ライフワークとして活動を続けたい」と話した。
同賞は、初代難民高等弁務官でノーベル平和賞も受けたフリチョフ・ナンセン氏をたたえ、54年に設立。難民支援活動に貢献した個人や組織に毎年与えられる。授与式は10月初旬にジュネーブで開かれる。【岸本悠】
毎日新聞 2006年7月5日 2時05分