【ワシントン和田浩明】米航空宇宙局(NASA)が月・火星有人探査を想定して今月下旬に行う海中実験に、日本人として初参加する若田光一飛行士(42)が11日、ジョンソン宇宙センター(米テキサス州ヒューストン)で毎日新聞の電話取材に応じた。実験は、国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在(6カ月前後)候補者養成の場。実験のリーダーを務め、2回の飛行経験を持つ若田さんの選抜が現実味を増してきた。
海中実験は米フロリダ州南部沖合で22~28日に実施。米海洋大気局の海中実験棟「アクエリアス」を拠点に、月面・火星探査用宇宙服の設計や土壌試料採取の効率化のためのデータを収集する。
若田さんは、昨年7月からISS関連の訓練を集中的に受けていることを明らかにし、「現在NASAで訓練中の日本人飛行士6人はいつでも飛べる態勢だ」と意欲をにじませた。
実験で若田さんは「コマンダー(指揮官)」として全体を統括する重要な役割を担う。「すべて月・火星探査を想定して行われる。初経験なので準備が大変だ」と語った。
ISSには07年末から3回のスペースシャトル飛行で日本の実験棟「きぼう」が運ばれる予定。土井隆雄飛行士が1便目に搭乗する。03年のシャトル「コロンビア」空中分解事故で中断したISSの建設再開には、現在飛行中の「ディスカバリー」の無事帰還が必須で、若田さんは「今後の飛行は一つ一つが重要で後がない。安全運用で、きぼうの組み立てにこぎつけたい」と語った。
一方、同僚のアンドリュー・フューステル飛行士(40)は「コーイチは素晴らしい候補者。みな彼が長期滞在に選抜されると見ているし、それが彼の目標でもあると思う」とエールを送った。
毎日新聞 2006年7月13日 15時00分