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ニセアカシア:「特定外来生物」の可能性 養蜂業者危機感

作者:根本太一  来源:mainichi-msn   更新:2006-7-18 9:42:53  点击:  切换到繁體中文

 

全国の養蜂業者に危機感が広がっている。高級はちみつの取れるニセアカシアが、昨年6月に施行された外来生物法で新たな栽培を禁じ、伐採を勧める対象の「特定外来生物」に指定される可能性も出てきたからだ。現在は「要注意リスト」に入っている。国産ハチミツの約半分はニセアカシアからの採取とされ、日本養蜂はちみつ協会(東京都中央区)の谷奥勝利常務は「指定されると、全国の養蜂業者の半分以上が廃業する可能性もある」と懸念。地方の業者からも悲鳴が聞こえる。

 ニセアカシアは北米原産のマメ科の広葉樹で、正式名はハリエンジュ。明治初期に輸入され、信濃川河川敷など全国各地の緑化に役立った。北原白秋の詩「この道」や1960年代に流行した西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」に歌われたのもニセアカシアだ。

 淡い桃色の花から取れるはちみつは色も香りも良く、レンゲみつに次ぐ高級品。国産はちみつ生産量2311トン(04年)のうち約半分を占め、特に東日本の養蜂業はニセアカシアで成り立っている。

 だが、「繁殖力が旺盛で、日本固有種の生息域を侵す」との理由で環境省の要注意リストに昨年8月に掲載された。国の作業部会は今年度中に、現在のブラックバスなど動植物80種の特定外来生物に新たに追加指定する種を検討する方針だ。環境省は「必ず指定されるとは限らない。指定されても、伐採を勧めるが、法的に命令権はない」と説明するものの、新潟県環境企画課は「指定されれば駆除が基本」との方針を崩していない。

 要注意リストに入ったことで、伐採する自治体も出てきた。新潟市では「松林を阻害する」として間伐を進めており、街路樹として約30年前に植栽した新潟県長岡市は「根が歩道を傷める恐れがある」などとして伐採を検討し始めた。

 これに対し、同県養蜂協会(井出秀雄会長)は、▽景観と沿道の大気浄化に役立ってきた▽伐採は地球温暖化対策に逆行--などとして関係省庁に、特定外来生物に指定しないことや伐採をやめるよう働きかけている。同協会は「河川管理や砂防林保護のためならやむをえないが、全部が悪というのはおかしい。伐採すれば、ミツバチ類が生き延びられない。スイカやメロン、トマトなどの自然受粉の機会も減る」と訴える。

【根本太一】

毎日新聞 2006年7月18日 


 

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