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憂楽帳:もんしぇん

朝もやの入り江に、老人たちを乗せた小舟が波間を漂っている--。12年前、旅先の天草(熊本県)で不知火の海を見た時に心の中に浮かんだ「一枚の絵」を動画という形で実現させた。

 映画「もんしぇん」を企画、脚本を手がけ、主役を演じるのが「千と千尋の神隠し」で「リン」役を務めた女優、玉井夕海(ゆうみ)さん(28)。16歳の時のインスピレーションが多くの人を動かし、「こんなに早く映画になるとは思わなかった」。

 山本草介監督(29)らと東京からロケ地・天草に移り住み、地元で働きながら「一枚の絵」のイメージを海を舞台に膨らませた。作品は身重の女性と不思議な老人たちの出会いを幻想的に描いた。

 「もんしぇん」とは土地の言葉で「だから」という接続詞。響きも優しく、直感的に決めた。「もんしぇん」と言い続けているうちに「言霊が独り歩きして少しずつ仲間(スタッフら)が増えていった」と玉井さんは振り返る。人と人をつなぐ接続詞にもなったこの映画には地元の人も多く出演している。

 一般公開は来月19日から東京・上野の「一角座」で。【亀山浩和】

毎日新聞 2006年7月19日

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