糖尿病や心筋梗塞(こうそく)などの血管障害につながる恐れが高い「食後高血糖」を1回の血液検査で簡単に見つける方法を、近畿健康管理センター(滋賀県栗東市)の金沢裕一診療所長が考案し、学会誌に発表した。従来の手法では半分程度しか捕捉できなかった糖尿病の初期兆候を80%超の感度で検出でき、病気の発症や進行の早期予防に役立ちそうだ。
食後のみ急速に血糖値が高くなってその状態が持続する食後高血糖は、糖尿病の初期の兆候とされる。通常の健康診断で調べる空腹時血糖値では見極めが難しい。
金沢所長は、糖の一種で血液中のブドウ糖の状態と関連する「1,5AG」に注目。空腹時血糖値と組み合わせて、(1)空腹時血糖値が1デシリットル当たり110ミリグラム以上(2)1,5AGが男性で1ミリリットルあたり14マイクログラム未満、女性で同10未満(3)1,5AGが男性で同14以上18未満、女性で同10以上14未満の場合は、空腹時血糖値が1デシリットル当たり95ミリグラム以上--の3パターンを食後高血糖とした。この3パターンを糖尿病の診断に使う「ブドウ糖負荷試験」結果と対照したところ、85%前後の高い感度で把握できていることが分かった。
空腹時血糖値のみを基準にした場合は50%程度しか検出されなかったといい、金沢所長は「一般の検診でブドウ糖負荷試験まで行うケースは少なく、食後高血糖は見逃されがち。この診断法が普及し、運動療法など予防に取り掛かる時期が早くなれば」と話している。【高田房二郎】
毎日新聞 2006年7月18日