厚生労働省は8日、06年版の「労働経済の分析」(労働経済白書)をまとめた。非正規雇用の増加が著しく、所得格差が拡大していると指摘。格差の固定化を防ぐために職業能力開発の充実など「新しい日本型雇用」の創造を掲げた。
白書によると、正規雇用は、96年は3800万人だったが、05年は3333万人に減少。一方で非正規雇用は96年の1043万人から05年には1591万人に増加。非正社員は5人に1人から、3人に1人の割合になった。
パート、アルバイトの他、派遣、契約、請負など就業形態の多様化の進展について、「(人口減で)労働力供給が制約される中、高齢者や女性の就業希望に応え、多様で柔軟な就業機会の創造が不可欠」と分析。その上で、「均衡処遇などを通じ、どの就業形態でも意欲を持って働けることが大切」と指摘している。
一方、特に増えている若年者の非正規雇用については、「低い所得水準にあり、子供がいる率も低い。少子化傾向をさらに促進する」と危機感を募らせ、「企業が長期的・継続的な視点で人材を採用、育成することが重要」とした。
「新しい日本型雇用」のあり方については、長期雇用をベースに「職業能力の適正な評価を通じて実力主義の企業風土を養う」とまとめた。【東海林智】
毎日新聞 2006年8月8日