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憂楽帳:屋台の魅力

 バンコクの活気を担っている大きな要素は屋台だろう。街中どこにでもめん類やご飯類を売る屋台があって、いかにもしっかり者という感じのおばさんが手際よく調理してくれる。値段は格安だし、少し傾いたテーブル越しに道行く人々を路上観察しながらかきこむ食事は独特の味わいがある。

 繁華街に行けば、食べ物だけではなく、衣類や小物類などを売る屋台も歩道沿いに並ぶ。外国人が多い地区だと、通常価格よりもかなり高い値段をふっかけられるから注意が必要だ。しかし、売り子の表情を読みながら値段交渉をするのはおもしろいし、うまく値切ることに成功すれば、何ともいえぬ満足感が得られる。

 コンクリートで囲まれた商店とは違って、屋台には生活のにおいが感じられる。その日その日の商売で生きる人々の生命力が活気を生み出しているのだろう。

 日本でも最近、屋台村や屋台横丁が流行しつつあるという。寂れた商店街が屋台街としてよみがえり、街が活気を取り戻す契機になれば、屋台ファンとして喜ばしい。【藤田悟】

毎日新聞 2006年9月7日

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