10日午前11時55分ごろ、兵庫県伊丹市の会社員(40)の妻(40)から「娘を殺した」と110番通報があった。県警伊丹署員が自宅に駆けつけると、市立中学2年の長女(14)が首にベルトをかけられ、自室の床の上であおむけに倒れて死亡していた。同署は殺人容疑で母親を逮捕した。関係者によると、母親は約5年前から重度のうつ病で入退院を繰り返し、長女は母親の病気のことで学校でいじめを受けていたという。母親も「娘が教育問題で悩んでいた。楽にしてあげようと思った」などと供述しており、同署はいじめに悩んでいたことが殺害動機の一つだった可能性があるとみて、慎重に捜査している。
調べでは、母親は同日未明、ベッドで寝ていた長女の首をベルトで絞めて殺害した疑い。自分の左腕も包丁で傷つけ、「死のうと思ったが、死に切れなかった」と話しており、無理心中を図ろうとしたとみられる。
一家は4人暮らし。事件当時、父親は出張中で、弟は自宅にいたが無事。母親は今年7月に入院した病院を今月2日に退院し、通院治療を受けていた。長女へのいじめについて、親族が学校に抗議に行ったことがあるという。
長女が通っていた中学校の校長らは11日、記者会見した。長女は7月中旬、スクールカウンセラーに相談したことがあり、1学期末の懇談では「母親が入院するので心配」などと話していた。しかし、9月に入って元気な様子で登校していたという。校長は「担任から、学校でのいじめやトラブルがあったとの報告はない」と話した。【田倉直彦】
毎日新聞 2006年9月11日