高利回りを約束して聴覚障害者から多額の資金を集めていたとして、警視庁生活経済課は1日、出資法違反(預かり金の禁止)容疑で福祉機器販売会社「コロニーワイズ」(東京都港区)の関連先計11カ所を家宅捜索した。出資金が返済されないまま女性社長(55)が今年6月ごろから所在不明になり、被害者は東京、山梨、愛知など10都県の約60人、総額約6億円にのぼるとみられる。
捜索先は、神奈川県湯河原町の同社関連の高齢者福祉施設など。同課は押収資料などから経営実態の解明を進める。
被害者の弁護士によると、社長や同社社員らは、00年ごろから、聴覚障害者に手話や筆談で「高齢者福祉施設の運営費用を集めている。銀行より高い利息を支払う」などと出資を勧誘。元本保証に加えて年5~6%の利回りを約束し、1人につき数百万~数千万円の資金を違法に集めた疑いが持たれている。
社長らは、知り合いの聴覚障害者らを通じて被害者らに接触。勧誘の際、資金力があるように見せかけるため自分が代表を務める貸金業の登録証を示し、「安心して預けてほしい」などと説得していたという。
しかしほとんどのケースで金利の支払いが滞り、元本の返済要求に対しても「必ず返す」などの文書やメールが届くだけだという。今年6月に弁護士から被害相談を受け、同課は被害者からの聴取を進めていた。
同社を巡っては、同様の被害を受けたとして山梨県の聴覚障害者ら6人が先月31日、女性社長らを同法違反と詐欺容疑で同県警に告訴した。同県の被害対策弁護団によると、社長は手話が巧みだったという。【佐々木洋】
毎日新聞 2006年9月1日