福島県発注工事を巡る談合事件で、東京地検特捜部は6日、佐藤栄佐久・同県知事の実弟で、衣料メーカー「郡山三東スーツ」(同県本宮町)の佐藤祐二社長(63)から事情聴取した。競売入札妨害容疑で逮捕した空調設備会社社長、辻政雄容疑者(59)が、知事や実弟の威光を背景に談合の仕切り役をしていたとされ、談合への関与の有無について説明を求めた模様だ。一方、特捜部は同日、佐藤知事の元私設秘書(58)が経営する郡山市の水道設備会社を家宅捜索した。
佐藤社長は、自身もスーツの売買などを通して多くの土木建築業者と付き合いがあり、一部業者は「県発注工事に影響力があると思った」と証言している。このため特捜部は、業者側から口利きの依頼があったかどうかを含めて説明を求めたとみられる。
一方、この日捜索を受けた水道設備会社の社長は、佐藤知事が参院議員だった時に私設秘書を務めた。現在も会津地方の選挙を担当するなど後援会活動で大きな役割を担い、知事と親しいという。「辻容疑者と同じように談合を仕切っていた」と指摘する関係者もいるが、毎日新聞の取材には「仕切り役ではない。私のことをおもしろくないと思う人が言っているんだろう」と話した。
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東京地裁は6日、法人税法違反で起訴された水谷建設(三重県桑名市)元会長、水谷功被告(61)について保釈を認める決定をした。保釈保証金は2億円。
知事「弟を信じる」 実弟が特捜部の任意聴取を受けたことについて佐藤知事は6日午後、県庁内で「弟は県政に対して立場を利用してはならないと分かっていた。(立場を悪用したことは)ないと信じている」と述べた。
毎日新聞 2006年9月7日