北海道大附属図書館(札幌市北区)は、教員が著した論文や講義ノートなどの教材をインターネットで公開するサービスを始めた。国立大の法人化に伴い、大学側に社会貢献の機運が高まっていることが背景にある。4月の本格稼動以来、学外を中心に1日約1000件のダウンロードがあり、“ネット上の本棚”のような存在になっている。
公開されているのは▽学術雑誌に発表した論文▽学生向けの講義資料▽市民対象の講演会で使ったビデオ--など約9000件。専用サイト(http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/)に、文献のタイトルや著者、発行日、キーワードなどを入力し、検索する。最も古い資料は北海道の昆布について記した1902年の「札幌農學(がっ)校紀要」で、戦前の資料も含まれている。論文の転載には著作権が問題になるが、営利目的外の公表のうえ、投稿前の書式が異なった状態であれば出版社の許可を得られやすい。
同様のシステムを導入している大学は世界に約400ある。国内では北大、千葉大、早稲田大などで、他に約60大学が準備を進めている。北大図書館は「研究・教育の内容を一元化して公表すれば、北大の活動を国内外に知ってもらえる。今後も約2100人の教員に協力を求め、世界トップクラスの存在感を出したい」と話している。【田中泰義】
毎日新聞 2006年9月7日