政府は8日、06年版厚生労働白書を閣議決定した。少子化の流れを変えるため、職場優先風土の変革や仕事と生活の調和(ワークライフバランス)を掲げ、その実現に「企業が求める働き方(働かせ方)の見直しが不可欠」と指摘。白書として初めて「働かせ方」という言葉を用い、長時間労働の是正には企業側の意識改革がより重要である点を強調している。
白書は、働き手が家族と過ごす時間を増やし、地域で支え合って暮らす社会の実現を人口減少時代の課題に挙げた。
厚労省が三菱総研に委託した世論調査(今年3月)で、労働時間短縮に必要な施策を聞いたところ、「経営者の取り組み」が444.2%で最多となった。このため、白書には「企業への期待」という一項を設け、仕事と生活の両立に向けた職場環境整備を「企業の社会的責任」と強調。また「働き方の多様化」といえども正規・非正規雇用の選択は企業側に主導権がある現状に触れ、「望ましい状態とは言えない」と批判している。
その一方、即日配達、各種24時間サービスなどの利便性を求める消費者に対しても、過度なサービス要求を控えるよう訴えている。【吉田啓志】
毎日新聞 2006年9月8日