大阪府高槻市の個人タクシー運転手、前久保要さん(59)が行方不明になった事件で、前久保さんとみられるタクシー運転手が同市内の路上で男と言い争いになり、路上から血液反応が出たことが19日、大阪府警茨木署捜査本部の調べで分かった。また、同府茨木市の山中に放置されていた前久保さんのタクシー内から現金約8万円が見つかった。捜査本部は金銭目的の強盗ではなく、前久保さんが客と争いになって激しい暴行を受け、別の場所に連れ去られたとの見方を強めている。
前久保さんは16日午後11時ごろ、JR東海道線高槻駅近くで客を乗せたのを最後に行方不明になった。約1時間半後の17日午前0時半ごろ、同駅から南に約5キロ離れた高槻市玉川の団地敷地内の路上で「タクシー運転手と客がけんかをしている」と110番があった。複数の住民によると、激しく言い争う声の後、「ウウッ」といううめき声が上がったという。目撃では相手は白色シャツを着ていた。
タクシーは直後に猛スピードで走り去り、警察が到着した時には既にいなかったが、19日の検証で路上から血液反応が出た。走り去ったタクシーは前久保さんのタクシーと似た緑色。前久保さんのタクシーは、茨木市車作の土手で発見され、料金メーターは「賃走」状態だった。
ダッシュボードの底には袋入りの現金約5万円が入っており、他にも2万数千円が車内に残されていた。また、なくなったとみられていたポーチもトランクから見つかった。不法投棄の車両を装ったタクシーは屋根のランプが取り外されていたが、19日までの捜索で捨てられているのが発見された。【隅俊之、小林慎、遠藤孝康】
毎日新聞 2006年9月20日