【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領は25日、ホワイトハウスで記者会見し、急激に治安が悪化しているイラク情勢について「米国民と同様に私も不満だ」と認めたうえで、「厳しい情勢」に応じて米軍のイラク増派を検討する意向を明らかにした。バグダッドでの宗派間抗争の激化を受け、戦術の変更を具体的に示したものだ。治安確保に向けた「目標」を示した行程表を改めて説明し「米国はイラク指導部に、彼らの国を守るため大胆な手法を取るよう後押ししている」と語った。
11月7日の米中間選挙を控え、ブッシュ政権のイラク政策への批判が高まり、共和党有力議員からも政策の修正を求める意見が強まっている。治安安定への青写真を示すことで批判をかわす狙いがあるとみられる。
大統領は、敵の動向に応じて「米軍は戦術を変えてきた」と述べた。今夏以降、米軍とイラク治安部隊を集中投下したバグダッドでの宗派間抗争鎮圧作戦について「いくつかのイラク治安部隊の活動は我々が想定した目標を下回った」と指摘し、イラク治安部隊が十分に機能していないとの認識を示した。
そのうえで大統領は「(イラク駐留米軍の)ケーシー司令官が『勝利を達成するためにもっと兵士が必要だ』と言えば、私はイラクに米軍を増派する。それがこの戦争での私のやり方だ」と述べた。ケーシー司令官は24日のバグダッドでの会見で米軍増員の可能性に言及していた。
毎日新聞 2006年10月26日