【ロサンゼルス國枝すみれ】朝鮮戦争を舞台にベトナム戦争を風刺した映画「M★A★S★H(マッシュ)」(1970年)で知られる米国の反体制派映画監督、ロバート・アルトマンさんが20日、ロサンゼルスの病院でがんのため死去した。81歳だった。
25年、ミズーリ州生まれ。第二次世界大戦の爆撃機パイロットとして従軍し、テレビをへて映画界入り。「マッシュ」でカンヌ国際映画祭の最高賞を受賞して、世界的評価を確立した。「ロング・グッドバイ」(73年)、「プレタポルテ」(94年)など、独特のスタイルと鋭い人間洞察で、もっともハリウッドらしからぬ監督と呼ばれ、個性の強い多くの作品を撮り続けた。
俳優たちに即興で演じさせることでも知られた。「ナッシュビル」(75年)、「ザ・プレイヤー」(92年)などで5回、アカデミー賞候補となった。「ア・プレイリー・ホーム・コンパニオン」(06年)が最後の監督作品となった。06年、長年の活躍に対するアカデミー名誉賞を受賞した際、10年前に心臓移植を受けていたことを公表していた。
毎日新聞 2006年11月22日