札幌ドームでプロ野球の試合を観戦中、ファウルボールが当たって右目を失明した札幌市の30代女性が、主催者の北海道日本ハムファイターズなどに約4700万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、札幌高裁であった。佐藤道明裁判長は、ドームの設備が観客の安全確保に不十分だったと認めた一審・札幌地裁判決を変更し、日本ハムに約3360万円の支払いを命じた。札幌ドームなどへの請求は棄却した。
判決によると、女性は2010年8月、一塁側内野席の前から10列目で日本ハム―西武戦を家族と観戦中、ファウルボールが右目を直撃し、失明した。
昨年3月の一審判決は、ドームの管理は内野席の防球ネットを取り外すなど臨場感の確保に偏っていたと指摘。日本ハムや札幌ドームなどに治療費や慰謝料など約4200万円の支払いを命じた。
控訴審で、日本ハムなどは「『通常の観客』への安全性を確保し、注意喚起をしていた」と主張。一方、女性は「初めて観戦する人にも留意した安全対策をとるべきだった」と訴えた。今年2月に和解協議がもたれたが、安全対策の改善や責任の所在などをめぐり双方の主張が折り合わなかった。(森本未紀)