トラックやバスのスペアタイヤの固定状況について、国土交通省は10月から、3カ月ごとの点検を使用者に義務づけることを決めた。岡山県で昨年10月にトラックのスペアタイヤが落下し、付近にいた母娘が死亡した事故を受け、規制強化が必要と判断した。
タイヤの固定装置も路上に 中国道の母娘死亡事故
事故は昨年10月18日夜、岡山県津山市の中国自動車道で起きた。落ちていたトラックのスペアタイヤに接触した大型トレーラーが横転。同じタイヤに軽乗用車で乗り上げて路肩に避難していた母(当時49)と娘(同21)の2人が巻き込まれて死亡した。
当時、スペアタイヤの固定状態の確認は法定の点検項目に入っていなかった。国交省は事故後、早急な点検を業界団体に指示したが、安全な固定を徹底させるため、定期的な点検を義務づけることにした。
8トン以上の大型車や定員30人以上のバスが対象。道路運送車両法に基づく規定を改正し、車体底面に備えたスペアタイヤや工具箱の固定にがたつきがないか、ボルトが壊れていないか、などを3カ月ごとに点検するよう義務づける。運送事業者の違反が続けば、道路運送法に基づく行政処分の対象となる。
また、走行中のトラックやバスのタイヤが外れる事故もこの5年で5倍超に急増していることから、国交省はタイヤ交換などでボルトの締め付けに注意するよう、業界団体などに注意を呼びかけている。(伊藤嘉孝)