日中平和友好条約締結40周年を記念して北京で10日、人間国宝の狂言師・野村万作さんと息子・萬斎さんによる狂言公演が開かれた。萬斎さんの解説の後、三つの演目が披露され、会場は大きな笑いと拍手に包まれた。
公演は、北京の日本大使館が主催した。萬斎さんは2001年に主演した映画「陰陽師」などで中国のファンにも広く知られ、高い人気を誇る。大使館関係者によると、用意した約900席分のチケットは30分で売り切れたという。
野村さんらはいずれも古典作品の「棒縛(ぼうしばり)」「川上(かわかみ)」「茸(くさびら)」を上演。中国語の字幕解説をつけるなど、工夫も凝らした。
終了後、万作さんは「日本の狂言を紹介できたことを光栄に思う。字幕もあり、笑いが波になって舞台に届いた」。萬斎さんは「狂言は日本の笑いの源流。マンガやアニメにも通じており、感じ取ってもらえている気がした」と語った。(北京=冨名腰隆)