鳥取県中部に伝わる民具などを収集・展示する同県北栄町の町立資料館「北栄みらい伝承館」。増えすぎた収集品の処分を前提にした「お別れ展示」を開催し、希望者には譲り渡すと告知したところ、全国から応募が殺到。展示品の8割が引き取られることになった。譲渡は珍しい試みで、収集品の増加に悩む小規模な博物館や資料館にも、ヒントになりそうだ。
お別れ展示の終了まであと2日となった8月24日、展示会場の北栄町役場旧北条庁舎。江戸時代のおけや乗り物・駕籠(かご)のほか、昭和の蓄音機やひな人形などが所狭しと置かれていた。なかには高さ1・5メートルほどの神輿(みこし)もあり、処分対象の約580点すべてがずらりと並んでいた。従来の企画展では来場者は主に地元住民。だが今回は全国から訪れたといい、担当者は「譲渡の効果がこれほどとは……」と驚いていた。
同館は1990年に開館。地元特有の農具「倉吉千歯(千歯こき)」や糸車、玩具などを収集してきた。収集品は現在2200点ほどに上り、約420平方メートルの館内と倉庫に収容するには限界に近い数という。同館の杉本裕史館長は、「集めたくても新たな物を入れられない状況」と話す。
博物館法は収集については定め…