日本画壇の第一人者で、9年前に79歳で亡くなった平山郁夫さんの未公開とみられる作品10点が確認された。千葉県柏市教育委員会が13日、明らかにした。平山さんが生涯のテーマとしたシルクロードを描いた約50年前の初期の絵画があり、関係者は「シルクロードをテーマにしたものでは出発点ともいえる作品」と話す。来年2月、市内で企画展を開いて公開する。
平山さんから絵を学んでいた東京都の女性の遺族が未公開10点を含む絵画11点を所有しており、市教委が借り受けた。専門家の鑑定で、20歳前後から30代後半の作品と確認された。
シルクロード関連は3点で、1968年8月にウズベキスタンの古都サマルカンドのモスクをパステルで描いた「シルク・ロードの遺跡」のほか、いずれも色鉛筆によるスケッチで66年の「トルコ アンカラ旧市内」と「トルコ ベリシラマ村の女」。
平山郁夫シルクロード美術館(山梨県北杜市)の平山東子(とうこ)副館長(48)は「把握していなかった貴重な作品。サマルカンドは色彩が鮮やかで、シルクロードの感動を絵にしている」と話した。
ほかには、湖を背景にした人物画や墨一色で描かれた騎馬武者などの絵、男びなと女びなを描いた作品などがあるという。(上嶋紀雄)