陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画をめぐり、山口県阿武町の花田憲彦町長は20日、「配備は町民の安全・安心や平穏を著しく損なうことにつながる。進めてきたまちづくりに逆行する」として、配備に反対する考えを表明した。町は、防衛省が候補地とする陸上自衛隊むつみ演習場(同県萩市)への進入路が一部かかる。
むつみ演習場と、新屋演習場(秋田市)が配備候補地になっているが、地元の首長が配備への反対を表明するのは初めて。反対に法的根拠はないが、防衛省は住民の理解が重要との立場をとっており、計画に影響が出る可能性がある。
20日の阿武町議会で、むつみ演習場周辺の16の自治会長らが出した「配備計画の撤回を求める請願」が全会一致で採択されたのを受け、花田町長が議場で明らかにした。「町民の来てほしくないという切実な思いを受け止めることこそ、選択すべき道だ」と述べた。
防衛省はイージス・アショア配備に向け、6月に山口、秋田両県側に配備候補地であることを伝達。今後、現地で適地調査をする予定にしている。(林国広)
菅長官「丁寧に説明したい」
陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画をめぐり、山口県阿武町の町長が反対を表明したことについて、菅義偉官房長官は20日午前の記者会見で「政府としては、弾道ミサイルの脅威からわが国を24時間365日切れ目なく防護するために必要な装備品と考えている。地元のご理解をいただくことが大前提で、懸念や要望に一つ一つ丁寧に対応していくことが大事。引き続き防衛省から何度でも丁寧に説明をさせていただきたい」と述べた。