北海道地震で震度6強の揺れに見舞われたむかわ町で展示・保管されていた恐竜「むかわ竜」(通称)の化石の無事が確認された。今月4日に、8メートル超に及ぶ全身の骨格が報道陣に公開されたばかりだった。国内最大とされる化石だけに、関係者は胸をなで下ろしている。
むかわ竜は、白亜紀後期の植物食のハドロサウルス科恐竜。2003年に同町穂別地区の約7200万年前の地層から発見された。その後の発掘調査などで、全身骨格化石であると分かった。
化石は、町の穂別博物館の常設展示場で尾椎骨(びついこつ)化石の一部などが公開され、その他は部位ごとに100余りのケースに入れ、収蔵庫で保管されていた。
博物館によると、地震によってロッカーが倒れたりしたが、尾椎骨化石は細かい部位がずれただけでほぼ無傷。ケース内の全身骨格化石もすべて無事だった。桜井和彦館長は「世界の宝でもある『むかわ竜』化石の無事が確認できてほっとしている」。
町は15年に「恐竜ワールド」構想を策定し、化石を生かした町づくりを進めている。10月には、町内で全身骨格化石の一般公開を予定していたが、会場が避難所になっており、延期せざるを得ない状況だ。竹中喜之町長は「復興の状況を見据えながら、年内には何とか公開を実現させ、元気を届けたい」と話している。(深沢博)