タイの首都バンコクの中心部にある国内最古の動物園「ドゥシット動物園」が9月30日をもって、80年の歴史に幕を閉じた。代わってバンコク郊外により大規模な動物園が設置されることになったが、ドゥシット動物園には連日、閉園を惜しむ市民が詰めかけた。
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動物園は1938年に開園。ゾウ、キリン、カバなどのおなじみの動物や、数々の鳥類、爬虫類などが市民や観光客らを楽しませてきた。園内には緑や池もあり、散策目的に訪れる人も多かった。
28日夕に訪ねると、家族連れが別れを惜しんでいた。生後9カ月の子どもを連れたバンコク在住の夫婦は「自分たちも子どもの時に来た思い出の場所。この子は大きくなったら覚えていないと思うけれど、子どもの時に来たんだよという証しを残しておきたくて」と話した。
園内で魚のえさのパンを売る女性(64)は、父親も夫もこの動物園で働いていたという。「やっぱり、なくなるのは寂しいね」
当初は8月末に閉園する予定だったが、あまりに訪れる人が多く、9月末まで延期された。新たな動物園は3年以内にバンコク近郊に整備される予定で、動物たちはそれまで、国内の六つの動物園に分散して移される。(バンコク=貝瀬秋彦)