日本からブラジルへの最初の移住船「笠戸丸(かさとまる)」がサントス港に到着して今年で110年。率いたのは熊本出身の上塚(うえつか)周平氏(1876~1935)だ。移民に捧げた生涯を題材にした演劇を、熊本市の劇団が10月、ブラジルで公演する。
舞台上の白髪の女性が、万華鏡をのぞき込む。不思議に影が揺れ、時は1908年にさかのぼる。そこは神戸港。笠戸丸に乗り込んだ移民たちは船上から腕を振り、日本に別れを告げた――。
「万華鏡~百年物語」と題した演目は、笠戸丸移民の最後の生存者で、2006年に亡くなった熊本県出身の中川トミさん(享年100)の目を通し、上塚氏の半生をたどる。熊本市の劇団「夢桟敷」が制作、県内の大学生らを加えた16人で演じる。
上塚氏は、ブラジルでは「日系…