広島大学付属三原中学校(広島県三原市)3年生の男子生徒が2016年6月、突然亡くなった。運動会で行った組み体操の騎馬が崩れ、頭を強く打ったためだと両親は訴えたが、学校側は事故を否定、広島地裁福山支部で裁判が続いている。
「組み体操原因で死亡」 当時中3の遺族、学校側を提訴
約9600万円の賠償を求め、学校を運営する国立大学法人を相手に両親が裁判を起こしたのは昨年11月。訴訟記録によると、生徒は16年6月18日にあった運動会の組み体操に参加し、ほかの8人と3段編成の騎馬を組んで歩いて退場した。その2日後の未明、頭痛や吐き気を訴え、死亡。小脳出血などと診断された。
退場の際、不安定な状態の騎馬が崩れ、上の段の生徒のひざが後頭部に当たったことが原因だと、両親は主張。学校は騎馬が崩れる危険性を予測できたのに十分な注意を払わず、生徒の死後も必要な調査や説明をしなかったと指摘する。
生徒は運動会の後は会話もでき「上の子の足が当たって頭がくらくらして痛かった」と話していたが、2日後、体調が急変した。CTスキャン画像から、小脳出血が広範囲に及び、小脳から離れた位置でもくも膜下血腫が見られ、後頭部に強い衝撃を受けた可能性が高い、との医師の意見書が提出されている。
一方、学校側は「騎馬は崩れておらず無事に解体した」と反論。騎馬が崩れたかどうかが、裁判の争点となっている。
上から撮った退場の様子の動画が双方から提出され、両親側は9月の手続きで、動画を分割した画像を示し、どの時点で上の段の生徒のひざが死亡した生徒に当たったかを説明した。10月末の手続きでは学校側が、騎馬の正常な解体の仕方についての資料を提出予定だ。
取材に対し国立大学法人は、騎馬の形のままでの退場は1970年ごろから続けており、「安全性には配慮していた」と説明。ただ、17年の運動会からは実施しておらず、今年から組み体操自体を取りやめたという。
■「他の生徒が犯人になると言わ…