トランプ米大統領は22日、中米ホンジュラスやグアテマラ、エルサルバドルへの援助を停止、または大幅に削減する方針を表明した。米政府は2017年会計年度でこの3カ国に、計5億ドル(約560億円)以上を援助している。トランプ氏は不法移民への厳しい姿勢を強調し、11月の中間選挙を前に争点として注目を集める狙いとみられる。
トランプ氏は22日、記者団に「(ホンジュラスなどに)巨額のカネを拠出しているが、米国のために何もしない」と援助停止の理由を語った。一方で、具体的にどの援助を停止するかは明らかにしていない。
トランプ氏が表明の際に言及したのは、米国に向けて今月13日に中米ホンジュラスを出発した「移民のキャラバン」と呼ばれる一団だ。現地報道によると、同国の元野党政治家の活動家が発起人となり、貧困や治安悪化などから逃れるために米国移住を求めて行進。エルサルバドルやグアテマラなど周辺国の人々も加わって計7千人近くにふくれあがり、現在、メキシコ南部を北上している。
トランプ氏は22日のツイッターでキャラバンが通過するメキシコに対し、行進を阻止できていないと批判。一団には犯罪者や素性の分からない中東出身者も交ざっていると主張した。また、中間選挙を念頭に、民主党にも矛先を向け、「人々が不法に我々の国に入るのを見る度に民主党を思い出し、とがめよう。民主党は(現行の)移民法を変えるための賛成票を投じない」とした。
これに対し、現地の報道によると、メキシコの次期外相は22日、トランプ氏のツイートについて「私も政府も驚かない」とし、選挙戦略だとの認識を示した。エルサルバドルの大統領広報官も、移民問題を巡る緊張は中間選挙後に落ち着くだろうと語った。(ワシントン=杉山正、サンパウロ=岡田玄)