岐阜県内で野生イノシシに豚(とん)コレラ感染が相次いでいる問題で、岐阜県は5日、岐阜市など20市町で実施している狩猟禁止について、区域を限定して来年3月15日まで延長することを決めた。発生当初の対応についての検証結果も報告し、「危機管理意識の欠如が各段階の不備や遅れを招いた原因の一つ」などと指摘した。
豚コレラに感染したイノシシは岐阜市の椿洞、大洞両地区を中心に見つかっていたが、今月に入り、可児市の西帷子地区でも確認された。感染の拡大を受け、県は、これまで発生農場から半径10キロ圏内などとしていたイノシシの調査対象区域を、6日から、これら3地区の半径10キロの円内に切り替えることを決めた。
県は、現在、14日まで20市町で狩猟を禁止している。15日には県内で猟銃を含む狩猟が解禁されるが、同じ20市町で、陽性のイノシシが見つかっている区域周辺などに限定して来年3月15日まで狩猟を禁止する。道路や谷などで区域を指定。今後、猟友会向けの説明会を開くという。
発生当初の対応の検証では、「関係者に『まさか内陸県の岐阜で26年ぶりに豚コレラが発生することはないだろう』との思い込みがあった」と指摘。初動に問題があったとして、県の「防疫対策要領」を年度内に全面改定することや訓練の実施、豚コレラの情報を覚知した時点で「家畜伝染病対策情報集約センター(仮称)」を設置することなどを決めた。(板倉吉延)
愛知県でも狩猟禁止に
岐阜県の野生イノシシに豚コレラ感染が相次いでいる問題で、愛知県は5日、犬山、小牧、春日井の各市で狩猟を制限すると発表した。制限する各市のエリアは今後検討する。
9月に岐阜市の養豚場で豚コレラが発生し、10月30日に岐阜県可児市で捕獲されたイノシシからも、木曽川以南では初めてとなる豚コレラの陽性反応が出た。
犬山など3市は、可児市から10キロ圏内に含まれる。愛知県は、狩猟によってイノシシが通常の生活圏外に移動したり、人や車両にウイルスが付いたりして拡散する恐れがあると判断した。扶桑、大口両町も10キロ圏内に含まれるが、イノシシの生息が確認されていないという。(北上田剛)