国連でシリア危機を担当するパノス・ムムツィス国連事務次長補(地域人道調整官)が朝日新聞の取材に応じた。シリアでは国民の半数が国内外で避難している。ムムツィス氏は「市民が安心して帰れると信じられる状況になることが必要だ」と語り、日本の協力に期待を示した。
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シリア内戦はアサド政権が軍事的優位を確実にし、国外に逃れた560万人以上の難民の帰還を呼びかけている。しかしムムツィス氏は「国内は安全面などで条件が整っていない」との認識を示した。国内避難民も620万人に上る。今後、内戦で壊れた学校、病院などを建て直し、生活再建を進めることが急務とムムツィス氏は強調。「日本には様々な専門家がいる。幅広い分野で寄与できるはずだ」と期待を示した。
シリアでは、反体制派の最後の拠点となったイドリブ県で緊張が高まる。政権軍を支援するロシアと反体制派を支えるトルコが非武装地帯の設定で合意したが、再び戦闘が起きれば多くの避難民が出る。ムムツィス氏は、避難民にとって厳しい冬が近づいていることに懸念を示し、「事態をエスカレートさせず、停戦状態を維持することが大切だ」と話した。
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