子どもが急に発熱したりけがをしたりしたとき、どうすればいいの? そんな時に役立つスマートフォンのアプリがある。長野県佐久市の医師会がつくり、北九州市の情報も載せた北九州版が今秋できた。
アプリは「教えて!ドクター」。メイン画面に「緊急です!救急車を呼ぶ?即時受診?」「症状からさがす」「病名からさがす」など異変時の対処法のほか、「まほうの子育て」など8項目が並ぶ。
例えば「緊急です!」を押すと「やけど」「頭をぶつけた」「異物誤飲」など12のボタンが現れ、「全身のやけど」「顔面のやけど」の場合は直接119番通報できる。「まほうの子育て」はイラストを使い、「『廊下は走らない』ではなく『廊下は歩きましょう』と具体的に伝える」といったコツを紹介。「予防接種」では、誕生日を入力すれば予防接種のスケジュールも分かる。
アプリは、佐久市が佐久医師会に監修を依頼し、2015年に完成。佐久医療センターの小児科医約10人や看護師が執筆し、医師らの子育て体験もコラムに盛り込んだ。佐久市の担当者は「核家族化が進み、子育て中の親の相談先が限られている。若い世代になじみがあるアプリは広まりやすいと考えた」と話す。自治体の相談窓口も紹介する。
「便利で広める価値がある」。このアプリを知った北九州市のNPO法人「地域医療連繫(れんけい)団体・Needs」の伊東浩樹代表(30)らが今年初め、佐久市に対して、北九州市の相談窓口を載せる「北九州版」導入を打診。改修費10万円をまかない、市の協力で実現した。
NPOは市内の認可保育園にアプリを紹介するチラシ配りを始めた。同市八幡西区の保育園で10月、2児の母親の林田由果さん(34)は「病院が休みの時にネットで症状を調べても不安なことがあった。アプリを使えば不安が軽減される」と話した。
これまでのダウンロード数は4万4千件超。アプリは2018年度グッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)にも選ばれた。アプリを送り出した佐久市の坂本昌彦医師(41)は「これをきっかけに利用される地域が広がれば」と話す。(宮野拓也)