9月に福井県内全域を暴風域に巻き込んだ台風21号の影響で、大量に落下した梨の実がレトルトカレーの材料に加工され、坂井市のふるさと納税の返礼品として生まれ変わった。ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」で申し込みを受け付けている。
坂井市三国町池上で40アールの梨農園を家族で営む「近(こん)ちゃんふぁーむ」では、台風21号で約6千個の梨(豊水)が落下した。相談を受けた市は、市場に出せない梨をふるさと納税の返礼品に活用することを提案した。
傷ついた梨を返礼品として9月5、6日の2日間限定でポータルサイトに登録したところ、初日の夜に申込数が上限の80セット(1セット20~25個)に達し、約1800個を全国に発送することができた。
残りは傷みが激しく、そのままでは返礼品にできなかった。しかし、営業担当の近藤美香さん(29)と、妹で企画・広報担当の井手孝美さん(27)の提案で、家庭で口にしてきた梨カレーを作ることにした。
傷んだ梨を同じ坂井市三国町内の洋菓子店の協力を得てピューレにした。そして、近所の牧場が営む焼き肉店の協力で若狭牛のミンチも入れ、オリジナルの「若狭牛 美梨(びなし)カレー」ができあがった。
さらに、町内の米農家とのコラボでコシヒカリと組み合わせ、新しい返礼品とした。寄付額が1万円で、カレー(200グラム)3個とコシヒカリ(2合)2パックのセットが選択できる。
近藤さんは「甘すぎず、フルーティーさを残しつつも、スパイスの利いた大人の味です」とPR。今後、市販に向けて検討する。(堀川敬部)