認知症の人が起こした事故への独自の救済制度を定めた神戸市の条例改正案が5日、市議会で賛成多数で可決された。加害者だけでなく、全国で初めて被害者の救済まで盛り込んだ。来年度からで、財源は増税で賄う。
厚生労働省は65歳以上の15%が認知症と推計し、神戸市では今年3月時点で約6万3千人の認知症の高齢者がいるとされる。
今回の救済制度は、認知症と診断された人に保険料を市が負担する形で、民間保険に加入してもらう。家族が監督責任を負った場合も対応する保険で、火災や傷害などの事故で賠償を求められた際、保険会社が最大2億円を支払う(自動車事故は対象外)。
神奈川県大和市や愛知県大府市などで、民間保険に加入する費用を肩代わりする同様の制度は導入済みだ。2007年に大府市で認知症の高齢男性が列車にはねられて死亡し、遺族がJR東海から損害賠償を求められたことを受け、導入の動きが広がりつつある。
しかし、こうした制度が機能するのは事故の賠償責任が認められた場合だけで、判断能力の低下などで認められなければ、被害者は「泣き寝入り」せざるを得ない。そこで神戸市は、賠償責任の有無に関わらず、全国で初めて被害者に公費で最大3千万円を支払うことも定めた。発生場所は市内外を問わない。
議論になったのは、この手厚い…