平成で最後になる天皇誕生日の祝賀行事が6日夜、在韓日本大使館主催でソウルのホテルで開かれ、歴代の元駐日韓国大使らを含む約700人が参加した。韓国政府を代表して外交省の趙顕・第1次官があいさつし、「歴史問題を別個に賢明に処理していきながら、他の分野においては協力を続けていくことこそが両国関係が未来志向的に進む方法になる」と語った。
韓国大法院(最高裁)が日本企業に韓国人の元徴用工に賠償を命じた判決などを受け、日韓関係が悪化していることを念頭においた発言とみられる。一方、長嶺安政大使はあいさつで「最近、未来志向の関係に逆行するような動きが韓国において続いていることは極めて残念だ。韓国政府が適切な対応をとり、日韓関係が再び前進できることを期待している」と述べた。
会場前では市民団体が「ソウルの真ん中での日王(天皇)の誕生祝賀パーティーを中断せよ」という横断幕を掲げて抗議活動を展開した。日本大使館関係者によると、同日、ソウル放送(SBS)など一部のメディアが、一般には公開していない開催場所や日時が入った招待状の写真をインターネットに掲載し、日本大使館が「警備上問題がある」と抗議したという。ソウル放送は、開催場所などが写り込んだ部分をモザイク処理する対応をとった。
ソウルでの天皇誕生日の祝賀行事は、日本大使館が毎年開催している外交行事。かつては韓国の国会議員も出席していたが、最近は一部の韓国メディアが批判的に報じるようになった影響で、見合わせるケースが増えている。大使館関係者によると、今年も韓国の国会議員に招待状を送ったが、一人も参加しなかったという。(ソウル=武田肇)