街にクリスマスソングが流れるこの季節、福井県敦賀市の高崎三蔵さん(87)はサンタクロースに変身する。ボランティアで扮するようになって30年目。白いひげをたくわえ、真っ赤な衣装を着て今年も子どもたちに夢と笑顔を届けた。
「サンタさーん」
今月13日夕、市立敦賀病院のロビーに集まった患者らの呼びかけに応え、高崎さんが現れた。電飾が輝く、手作りの電動そりに乗って周りをぐるりと回った。
初めてサンタに変身したのは1989年。地域の交通指導員として交通安全教室などを開いてきた経験を買われ、孫が通う保育園から依頼を受けた。
衣装をまとい、プレゼントの入った袋を担いで訪ねると、園児らは大喜び。「もっと喜ばせたい」と、その後、電動そりでの登場など演出にもひと工夫。評判が口コミで広がり、多い年は保育園など8カ所を回ったという。
年齢を重ねたこともあって今年の出番は13日の敦賀病院と市こどもの国の2カ所に。同病院で交通整理の仕事をする傍ら、2週間ほど前から衣装の手入れやそりの電飾の改良など準備を進めてきた。
サンタとして心がけているのは「相手の心を包み込むこと」。笑顔とともに、ゆっくりとわかりやすい言葉で語りかける。
13日は、集まった患者ら一人一人と握手を交わし、「元気になってください」と言葉をかけた。子どもたちには「はいよー」と陽気に贈り物を手渡した。
「子どもたちに夢を届けるのがサンタだけど、続けるうちに子どもたちの喜ぶ姿が私に夢をくれるようになった。元気の続く限り、続けたい」。高崎さんはそう話している。(八百板一平)