インドネシア中部ジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡で22日に起きた津波の発生原因になったとみられる火山島で、山体が崩壊したとみられる明らかな地形変化が起きていることが分かった。国土地理院が人工衛星「だいち2号」の観測データを解析し、25日発表した。専門家は、この崩壊が津波の原因になったとみている。
噴火があったアナククラカタウは標高800メートルほどで、2キロ四方の小さな島。地理院の解析によると、噴火前の8月は山頂部が認められた。だが、噴火後の今月24日午後の観測データでは、山頂部の火口が確認できず、山頂から島の南西部にかけて崩壊した様子が確認できる。矢来博司・地殻変動研究室長は「島の南西部がごっそりなくなっているように見える」と話す。
東京大の中田節也名誉教授によると、ここでは1883年に元々あった火山島がカルデラをつくる巨大噴火を起こし、陥没して消失した。20世紀に入ってカルデラを土台に、噴火を繰り返して新たな火山島が急速に成長した。解析データを確認した中田さんは「まず22日の噴火に伴って大きな崩壊が起き、津波が発生したのだろう。その後も1日かけて崩壊は続き、島の南西部は大半がなくなった。今は火口が海中に移っている」と話している。(小林舞子)